ぼくのオーラ体験と精神世界
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HEALING HIGH
はじめに/夏の朝の草原のような場所に出るために
最初にお断りしておかなければならないが、ぼくがこれから書こうとしているこの本は、
小説ではない。つまり、フィクションではない。
セルフ・ヒーリングのためのストーリィをいくつか書くつもりではいるが、それを除けば、すべてが実際にぼくの内面に起こった事実である。
予期せぬ出来事にぼくはうろたえ、混乱に陥り、恐怖をさえ感じた。そういう時期が一カ月ほどつづいた。
ぼくは過去を振り返り、やがて自分に起こった出来事が決して偶然ではなく、脈絡のあるいくつかの小さな体験の結果として今自分がこのような状況に置かれているのだと考えるようになった。
すると、恐怖はゆっくり消えていった。
ぼくはこの体験をむしろ面白がり、自分の肉体と精神を実験装置にしていろいろなことを試してみようという気になった。そして実際に、さまざまなことを試みた。
さらに自分の内面に起きた出来事の意味を考えるために、と言うより実際には自分の精神が異常をきたしたのではないということを確かめたくて、ぼくは生まれて初めてそれまでまったく縁のなかった精神世界に関する膨大な本を読むことになった。
だが、それは不十分に感じられるようになったのだ。ぼくは書くことを本能的に欲している人間である。
だから、小説を書くことを職業としている。
今回の体験も、だからきちんと書き記すことによってしか、その深い意味を考察することは不可能であるように思われた。
それに、時間が経過するに連れ、あの一カ月の間にぼくに訪れた経験は今ではぼく一人に固有なものではなく、既に多くの人々が共有する体験だという事実も知った。
それは、最初は恐れの対象であっても、強い意志の力で正視し対象化できるようになれば、やがて夏の朝の草原のような、明るく開けた気持ちの良い場所に出ることができる。
そういうことがわかり、だからこうして書くことにしたのだ。
「ヒーリング・ハイ」(早川書房)より